今日の点検読み

「世間」の現象学 (青弓社ライブラリー) [単行本]

佐藤 直樹   




「表と裏」でもふれましたが、日本特有の2面性についてここで更に深く考察されています。


「世間」という領域は、次の4つの性格を持っています。


・第一に「贈与・互酬の関係」。お中元やお歳暮を贈った相手には必ずお返しをする習慣。
・第二に「身分の重要性」。年功序列・先輩後輩の上下関係の習慣。
・第三に「個人は存在しない」家族や組織などの属性別に、共通の時間意識を持つ。(「親子は何歳になっても親子」という関係性)
・第四に「自己決定の不在」没個性的で、集団意思が前面に出る。


この4つのテーマから見えてくるのは、対人関係においてもはや慣例ともいえる強制力が働いている点で、個人を主張しようにも、世間体が常に邪魔をし、自分の意思を表現しづらい状態にしていることです。


建前と本音のバランス感覚を保つことは、日本人として日常的に求められるスキルのひとつとされるけれど、その弊害として日本には「対人恐怖症」が発生する素地ができていると論じられています。